ある相続人からの相談です。
遺言書があるので、この遺言書に基づいて手続きをして欲しいとのこと。
その遺言書は、自分で自書したいわゆる『自筆証書遺言』です。
財産は現預金・株式・不動産等あるのに、「どこどこの不動産は、????に相続させる」とだけ記されています。
不動産以外の、現預金・株式等の財産の処分について何ら記載がされていないのです。
現預金・株式等について記載がない場合、その現預金・株式等については「分割協議」の対象となりますので話し合いとなります。
この『他の相続人と話し合い(分割協議)をする余地がある』ことが困った理由なのです。
遺言書に記載がある不動産は、遺言書のとおり????に相続させることで相続人全員が一致し、その他の財産についての話し合いがまとまれば円満解決となりそうですが、そうではなく、「遺言書の記載はそれはそれとして、不動産の評価も含めて現預金・株式等について分割協議をしないのなら合意はしない。」と相続人の誰かが主張した場合、非常に困ってしまうのです。
分割協議により遺産の処理(預金の解約や株式の手続き)をするためには、実務上相続人全員の実印・印鑑証明書が必要なケースがほとんどです。
しかし、合意できないとする相続人からは当然印鑑をもらうことはできないでしょう。
そうすると前に進まなくなりますので、争族となり、調停・裁判となることが予想されます。
そのような心配をしながらお手続きを進めましたが、今回は争いもなく無事完了できました。
遺言者の意思により、特定の不動産を特定の誰かに遺す意思表示は大事なことと思いますが、後々のことを想い遺言書を作成するのですから、この遺言書によってどのようなことが起こり得るのかも想定した上で、争うことになるようなことが極力ないような内容の遺言書にしていただきたいと思う事案です。
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