相続手続き[3]財産の名義変更
不動産の名義変更
相続が起こった場合、被相続人名義の不動産登記簿を相続人名義に変える手続きをしなくてはなりません。
令和6年4月から、相続登記が義務化されます(改正法施行)。
不動産を相続で取得したことを知った日から、3年以内に相続登記をしなければなりません。過去に不動産を取得して、名義変更をしていない場合についても適用されます。
ペナルティが科せられる場合もありますので、注意が必要です。
- ①登記に必要な書類の収集
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法定相続人が一人の場合
または法定相続分で相続する場合- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 法定相続人の戸籍謄本
- 法定相続人の住民票
- 相続する不動産の固定資産税評価証明書
遺産分割協議で決めた割合で
相続する場合- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 法定相続人の戸籍謄本
- 法定相続人の住民票
- 相続する不動産の固定資産税評価証明書
- 法定相続人の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- ②申請書の作成
- 登記の申請書を作成する場合の詳細は、状況によって複雑に変化します。
司法書士に依頼する方が、正確かつ速やかに実行できることでしょう。 - ③登記の申請
- 登記の申請書に集めた書類をまとめ、相続する不動産を管轄とする法務局に登記申請をします。
提出した書類に不備がなければ1週間程で登記が完了し、不動産の名義が変更されます。 - 登記の費用について
- 司法書士の報酬とは別に、登記を申請する際には税金(登録免許税)の納付が必要になります。
登録免許税は固定資産税評価証明書に記載されている不動産の価格に1000分の4を乗じた価格となります。
銀行口座の名義変更
被相続人名義の預貯金は、金融機関が被相続人の死亡を確認したときから、預金の取り扱いが凍結されます。
これは、一部の相続人が許可なく預金を引き出したりすることを防止するためです。
凍結された預貯金の払い戻しの手続きは、遺産分割が行われる前か、行われた後かによって手続きが異なります。
※ゆうちょ銀行は手順が異なるので注意してください。
- 遺産分割する前の場合
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遺産分割前の場合には、以下の書類を金融機関に提出します。
金融機関によっては用意する書類が異なる場合もありますので、直接どのような書類が必要になるのか、
問い合わせてみましょう。- 金融機関所定の払い戻し請求書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の戸籍謄本
(出生から死亡までのものすべて) - 各相続人の現在の戸籍謄本
- 被相続人の預金通帳
- 遺産分割を済ませた後の場合
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遺産分割をどのように済ませたかにより、手続きは異なりますので事前にしっかりおさえておきましょう。
遺言書に基づく場合- 遺言書
- 被相続人の除籍謄本
(最後の本籍の市区町村役場で取得できます。) - 遺言によって財産をもらう人の印鑑証明書
- 被相続人の預金通帳
遺産分割協議に基づく場合- 金融機関所定の払い戻し請求書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の戸籍謄本
(出生から死亡までのものすべて) - 各相続人の現在の戸籍謄本
- 被相続人の預金通帳
- 遺産分割協議書
(相続人全員が実印で押印)
調停・審判に基づく場合- 家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本
(いずれも家庭裁判所で発行) - 預金を相続した人の戸籍謄本と印鑑証明書
- 被相続人の預金通帳
相続手続きが大変な理由
- 多くの書類の請求、準備、提出が必要です。
- 一部の手続きに期限があり、それを過ぎると損害を負うことも!
- 手続き方法が相手先によって異なる。
- 手続きは平日の日中にしかできません。
- 手続きの種類がお亡くなりになられた方の人生により様々です。
- 専門的な法律の知識が必要。
相続が発生して、何から手をつけて良いかわからないという方は多いと思います。
大切な方を亡くし、悲しみの中にあってもやるべきことはたくさんあります。
相続手続きは法的な手続きであり、専門的な知識や経験も必要になってきます。
税金や不動産のこと、認知症や面識のない相続人がいたり、遺産を巡っての争いや意見の対立がある場合など、手続きは一層困難になります。相続手続きは複雑で大変な作業ですが、専門家のサポートや適切な準備をすることで不要なコストや時間を削減することもできます。
相続を円滑に進めるためにも、悩む前にまずは私たち専門家にご相談ください。